死者の奢り・飼育
- 作者: 大江健三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1959/09/29
- メディア: 文庫
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結構これは衝撃.引き込まれる.しかし,なんか,気持ち悪い.主人公の徒労感.飲んだ次の日に二日酔いの頭で読むと,一層気持ち悪い・・・うーん粘っこい?
そうか,なんで粘っこいかっていうと,暗さだけじゃなくて,セクシュアルな面とか,主人公の怒り,興奮,そしてそうか体臭の匂いに関する描写が多いからだな.
一貫した主題は「監禁されている状態,閉ざされた壁のなかに生きる状態を考えること」であったという.ここでいう「監禁状態」とは,時代的にいえば一種の閉塞状態であり,存在論的にいえば「社会的主義」の仮構をみぬいたものの一種の断絶感である. 「死者の奢り・飼育」解説より
主人公たちは,「社会的主義」の仮構をみぬいている.一歩引いている.そして相手に伝わらないであろう,という断絶感を持っている.私が感じたのは,そういった主人公たちが,伝わらない相手を相手にするときの徒労感.なんだか自分も徒労感にとらわれてしまう.主人公たちこそが,まともな人たちであると感じる.そういう点は村上春樹作品と似ている.
「存在の耐えられない軽さ」にあった,キッチュ(俗悪なもの)=社会的に「良い」とされているもの,というのは「社会的主義」の仮構とも言い換えられるということかなー.
大江さんもクンデラさんも,他の作品を読みたくなりました.しかし,私は本当に感想文というものが苦手だなあ・・・